会計士を諦めなかった人①後藤祐貴さん

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後藤 祐貴(Goto Yuki)さん

  • 高校卒業後 1年間の浪人(19歳)
  • 東京理科大学理学部化学科 1年生で中退(20歳)
  • 神戸大学工学部電気電子工学科 卒業(21~25歳)
  • 大学卒業後2年目に公認会計士論文式試験合格(22~26歳)
  • 大手監査法人 2年目(28歳)

専門学校で出会った勉強仲間です。
桑理と同じ時期に勉強を始め、5年かけて合格されました。

 

 

公認会計士を目指した理由

 

後藤:理系やったから、会計士とは無縁の世界。やりたいことが無く、何となく理系にいて、一浪して理系の大学に進んだ。違うと思って再受験したけど、1回生の時に友達は3回生で就活を始めてて、「俺も理系の道で就職するのかな?」と思ったら何か違った

桑理:ふむ。。

後藤:技術者とかでは無いなと思って。昔から、どうせなら人と違うことをしたかった。再受験する時も、休学しながらとかは頭に無かったし。

桑理:ほぉ。

後藤:その時に考えた、こうなりたいって具体的な例が橋下徹やった。

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後藤:弁護士としてメディアに出て、法律を庶民に近づけて人気番組を作ってた。暴走することもあるけど、それも庶民的で僕らとかけ離れてない。

桑理:そうですねー。

後藤:昔から、カッコいいと思う人と比べて、自分と何が違うかを考えてた。小学生の頃、的場亮っていう希学園(塾)の先生がいて、今では本も出してる人やねんけど。

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後藤:それまで全科目苦手やったのに、希学園に移って的場先生に出会って、社会だけそれまでに無い飛び級で1番上のクラスまで上がった。

桑理:ほぉー。

後藤:家に帰って、親に向かって的場先生の授業のマネをしてたし。当時のノートには、雑談とかも全部書いてる。算数とかのノートには何にも書いてないけど(笑)。

桑理:スゴイですね(笑)。

後藤:目標とする人がその時々でいるねんけど、大学で進路考えた時が橋下さんやった。でも、今からの自分に弁護士は無理やと思った。理系の自分でも身近な所な無いかと思って、神戸大の生協に行ってみたら色んな資格があって。。

桑理:いろいろありますね。

後藤:生協のおばちゃんに「理系なんですけど、専門家になりたいんです。何か無いですかね?」って相談したら、たまたま会計士の専門学校の人が来てて、話を聞いた次の日に会計士講座を申し込んだ

桑理:次の日。。。

後藤:その時の話で「どの会社にもあるのが会計。それを裏から支えているのが会計士。監査法人・大企業・ベンチャー・独立、、、選択肢がたくさんある。」っていうのが良いなと思った。「良い会社に行って、ずっと」っていう人生は、楽しくなさそうやし。

桑理:元々、自分で何かやりたいと思ってたんですか?

後藤:昔から、やらされるのが大嫌いやったな。でも、うちの親はやらせるタイプ。高校でバンドを始めた時も親が反対してたけど、先にライブする約束して「ギター買うわ」って。

桑理:決められてるのが嫌なんですね。

後藤:敷かれたレールの上を行くのは、嫌やな。

桑理:だから専門家に。納得しました。

 

 

公認会計士を諦めなかった理由

 

後藤:会計士の勉強を始めたのが、大学2年生の夏。そこから大学もメッチャ忙しくなって、3回生の夏から1年間休学した。

桑理:そうでしたね。

後藤:卒業してから勉強するか迷ったけど、予想以上に両立がキツかった

桑理:ふむ。。

後藤:でも、その時もダメで、大学に戻った3回生の12月もダメ。その時、ちょっと就活もしてみた。

桑理:ほぉ。

後藤:元々人と喋るの好きやし、就活は思ってたより楽しかったけど、本気にはなれなかった。最終的に3社受けたけど、面接で正直に「会計士の勉強は辞めてない」と言ってて。もちろん内定は1個も無し。

桑理:ほぉ。。。

後藤:4回生の時はメッチャ忙しくて、夜8時ぐらいまで研究室にいて、家に帰ってから会計士の勉強。その時には、桑理とかは合格していなくなってたし、本当に辛かった

桑理:。。。

後藤:4年生の5月は無理やったけど、まぁまぁ点は取れてた。でも、次の12月が本当にダメやった。勉強してないワケじゃないのに「こんなに出来へんもんなんか」と思った。

※会計士の試験は、1次の短答式が年に2回(12月と5月に)あり、2次の論文式が年に1回(8月に)ある。1次の合格率が約10%、2次の合格率が約30%

後藤:それで、桑理達に勉強方法を相談した。

※成績表を詳しく見せてもらって、僕らがアドバイスをした。
「良くない成績を友達に見せる」ってかなり勇気のいること。それをやった後藤さんはスゴいし、だから合格したと思う。

後藤:それで、卒業した後の5月は1問差で落ちた。最後の科目の答えが発表されるまで「絶対受かった」と思ってたけど、最後がメッチャ悪くて。。。試験落ちて、初めて泣いた。

桑理:。。。

後藤:でも、その時には合格する実力はついてたから、専門学校の奨学生試験で全国2位なって、授業料も半額。そこからは、笑いが止まらない1年やった(笑)。

桑理:5年間、辞めたいと思ったことは無かったんですか?

後藤:勉強を始めた時に、自分の定期預金を58万円崩して、その時に辞めないって決めてた。それまで、何かを続けてきたことが無くて、親にもずっと言われてきた。

桑理:ほぉ。

後藤:親は俺が受かるなんて思って無かったし、それが嫌で嫌でしょうがなくて。辞めるっていう選択肢は無かったな。

 

 

監査法人、どう思う?

 

桑理:監査法人に就職されて1年半。今、どう思いますか。

後藤:同じ時に勉強してた友達が先に就職して、「監査はつまらない」とか、監査法人の現実を聞いてた。だから、理想が潰されたとかは無いし、裏付けが取れたって感じ(笑)。

桑理:裏付け(笑)。

後藤:でも、面白くないコトばかりじゃない。勉強してきた知識で「こうじゃないですか?」って言えるコトもあるし、特に上場支援とかは楽しいな。

桑理:なるほど。

後藤:飲み会で集まるからグチになるんやろけど。思ってたより、面白いコトが多い。

桑理:ふむふむ。

後藤:会計士以外の人と交流しようと思って、いろんな職業の人と話したんやけど、やっぱり恵まれてると思う。残業代がキッチリもらえるっていうのもあるし、普通に生きてたら見れないものが見れる。将来の糧になるものが得られる場所やと思うな。

桑理:ほぉ。

後藤:そんなに不満は無い。受験時代に思ってたより給料は低いけど(笑)。

桑理:なんで「面白くない」って言う人が多いんですかねー?

後藤:そうやな。。。やっぱり専門学校はイイことしか言わない。「手に職がつく」「将来の選択肢が多い」とか。でも、監査法人の出世競争はメッチャ厳しいし、専門学校が言うより転職市場は全然少ないし。

桑理:そうですね。。。

後藤:昔より監査報酬は減ったから人手不足。手を動かす世代が辞めていって、残っている人はさらに疲弊していって、不満が溜まっていく。

桑理:ふむ。。。

後藤:監査って、そもそもクリエイティブな仕事では無いし、コスト削減ばかりじゃクリエイティブにもなれない。「良い調書を作ろう」と努力しても、最後の成果物は監査報告書1枚努力は世に出ない。そこが面白くない所かな?

桑理:なるほど。。。

後藤:現状を変えようっていう風土が無いし、余裕も無い。

 

 

会計士、どう思う?

 

桑理:では、会計士そのものはどう思いますか?

後藤:僭越ながら、会計士業界ってちょっと暗い。弁護士は橋下さんとかがいて、会計士より明るいな。面白い人が増えれば、会計士を目指す人も増えると思う。

桑理:暗いって、具体的にどんなイメージですか?

後藤:まず知名度が低いな。「会計士が何をする人か?」は知ってほしい。

桑理:そうですね。

後藤:あと、監査は嫌がられる仕事やしな。暗いイメージは、監査のせいやと思う。

桑理:監査やから、暗くないとダメなんですかね?

後藤:警察にビビるのと同じかな。「何か言われるかも」って。税務署もそうやし。

桑理:なるほど。

後藤:弁護士は味方になってくれるけど、それとは違う。

桑理:ふむ。

後藤:専門学校が出すパンフレットには「会計士には色んな道がある」って書いてあって、それを見た人は絶対に良い職業って思う。実際もそうならなきゃダメちゃうかな?

桑理:なるほどねー。

後藤:会計士の中で、スゴいオーラのある人は専門学校の先生とか。監査法人にはほとんどいないな。目に映るのは、疲弊してる先輩(笑)。

桑理:警察の偉い人はホンマに尊敬されると思うんですけど、監査法人の偉い人はそうじゃない気がしますね。。。

後藤:権力の差かな?家宅捜索みたいなことをしてるけど、強制捜査権は無いし。。。それが誤解されるコトが多い。ちゃんと監査をやっていれば、会社が間違ったこと自体に責任は無いけど、監査法人に責任があると思われても仕方ない。

桑理:なるほど。。。

後藤:中途半端なんやろな。

桑理:クライアントから怒鳴られるコトもありますしね(笑)。

後藤:ダサいよな(笑)。

桑理:そりゃ疲弊しますわ(笑)。

 

 

後藤さんの今後

 

後藤:会計士を子供がなりたい職業にしたい俺を見て、あんな会計士になりたいって言ってもらえるような大人になりたい。

桑理:いいですねー。

後藤:俺が尊敬するような、影響力のある人になりたいな。特別な才能が無くても、努力して、時間をかけたら合格できるってことも示せたし、それを目標としてくれる人がいてくれたら嬉しい。

桑理:ふむふむ。

後藤:人生に迷っている人がイッパイいるけど、こういう人になりたいっていうのがいれば楽。そういう人の1人になれたらイイ。監査法人にいたら厳しいかな?(笑)。

桑理:監査法人の中も外も、そういう人がいないと面白くならないですよね。

後藤:バスケの選手とか、元プロ野球選手とか、そういう人が会計士になってるのは素晴らしいと思う。

この後も、答えの無い議論が続きましたが、この辺で。

 

 

編集後記

 

お兄さんような、皆から頼りにされる存在。
ご飯を食べに行く場所に困ったら、後藤さんに聞いてた。

年下ながら、「後藤さん、頑張って欲しいな」とずっと思ってて、合格した時は嬉しかった。
辛い状況を乗り越えたからこそ、伝えられるコトがある。誰かの目標になれる。

このブログが、そのキッカケになれば嬉しいです。

これから、一緒に会計士を面白くしていきたいと思います。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございましたm(__)m

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