加納麻衣さん「小説を書く、もう1人の自分」

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加納 麻衣(Kano Mai)さん

  • 関西学院大学卒
  • 東京で社会人4年目

 

インタビュー経緯

まいぽすが就活で出会った友達。
久し振りに会ったら、

仕事しながら小説を書いてて、コンクールの予選を通過したらしい!スゴい!
コツコツ感が桑理くんと似てる!

ってことで、インタビューを思い付いたそうな。

同じ「まい」っていう名前。
まいぽすは、加納さんのことを「いーま」と呼んでいる。

 

仕事とのバランス

くわ:このインタビューは、「好きなコト」が無いって人に読んで欲しいと思ってます。だから、好きなコトを自由に話してください。

加納:あなたの好きなコト」のカテゴリーですね!

くわ:そうです!

加納:ザーっとですけど、1時間ぐらい、ブログを始めたきっかけまで読みました。インタビュー以外にもいろいろ書いてて、こんな考え方の人なんやなーと。

くわ:ありがとうございます(照)。

加納:小説もそうですけど、定期的に書くってエネルギーがいりますよね。桑理くんも、仕事とは別で時間を作ってやってるし。

ぽす:そういうコツコツやる所が、似てると思った!

加納:仕事以外で自分の時間を作れない人、多いと思うんで。。。

ぽす:親近感みたいな?

加納:というより、敬意みたいな。

ぽす:ほぉ。

加納:私は、自分の好きなコトには正直に、時間をかけてやりたいと思ってます。でも、仕事もプロとしてやってるんで、それを蔑ろにするつもりは無いですし。

くわ:ふむ。

加納:今は2つのモチベーションが良い関係だと思います。小説でも賞を狙いたいし、どっちも頑張りたい。去年は、「仕事はこなせたらいいや」と思ってたんですが、やっとバランスが取れるようになってきました。

くわ:それは、何かきっかけが?

加納:仕事が4年目になって、余裕が出てきたのもありますし、後輩の見本になるためにも後ろ向きじゃダメだと思いました。

くわ:なるほどー。

加納:仕事でも、今まで積上げてきたモノで、信頼されて声がかかるようになってきました。期待されて、任されるのであれば、それに応えたいと思ってます。以前は、視点が自分だけ、自分の仕事をこなすことばかり考えてて、しんどかったです。

くわ:どうして今の仕事を?

加納:こういう仕事をしたいっていうのは無くて、「表現したい。でも、仕事はしなきゃ。」って感じでした。今の会社を選んだのは、一緒に仕事をしていて違和感が無いと思ったから。面接官とかのスタンスとか、先輩の雰囲気がいいなと思いました。仕事で悩むのは人間関係でしょうし、人間関係が良ければ、大変でも頑張れるかなと。

 

小説を書くきっかけ

加納:大学4年の時、就活が終わって、社会人まで何をしようか?と思った時です。小学生の時から、本を書く人になりたいと思って、詩とか書いてたんですが、これからの生き方を考えた時に、今まで向き合ってこなかった、1番好きなコトにチャレンジしてみたいと思って。1作品目が完成したのが、丸2年、社会人2年目の夏でした。

くわ:2年も!

加納:社会人になって、上京して、中断していた時期もありましたし、小説のハウツー本を読みながらだったんで。今ちょうど、3作目が終わったところです。

くわ:1作品、どれくらいの長さなんですか?

加納:これ、母親が製本してくれたんですけど・・・

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ぽす:すごい!

加納:1作目から製本してくれてます。

くわ:すごいなー。

ぽす:いーまは、お母さんが「作文書くの上手い」って言ってたのがキッカケらしいよ。

加納:小学校1年生か2年生かの時、絵日記で「将来なりたいモノ」っていう宿題があって、お母さんが「あんた作文好きやから、小説家とか?」と言って。

くわ:ほぉ。

加納:それまで小説とか、小説家っていう言葉すら知らなかったんですが、絵日記にイメージで、本棚に本がズラーっと並んで、床にボツになった原稿が転がっている絵を描いてました(笑)。

くわ:すごい(笑)。

加納:作文を先生から褒められるコトが多くて、クラスで発表したりしてました。小学校3年生の時、宿題で作文の代わりに詩を書いていったんですが、先生が驚いてそれも前で読まされたり。

くわ:すごいなー。

加納:1番嬉しかったのが、高校生の時。お母さんに関係する作文書いて、学年代表が自分の作文を読むんですけど、それに選ばれたことがあって。読んだら、クラスの友達が感動して泣いたんです。自分が書いた文章が、他人に影響を及ぼしたのが嬉しかったですね。

くわ:いいですね!

ぽす:(本を見てる。)

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ペンネームは「村崎舞子」

加納:これは3作目で、バンドマンと女子高生、2つの青春物語が交差していく話なんですけど、私の青春時代に思ってたパッションをそのまま書きました。2作目は、自分とは境遇が違う人を書いてしまったんで。フィクションやから私のことを書いてるわけじゃないけど、自分の思い入れって言うか。

くわ:読みたいなー。

ぽす:うん!

加納:読みたい人にはお貸しします。プロでも無い、アマチュアの本を読みたい人は少ないし。

ぽす:ホントに!?

加納:もちろん。

村﨑舞子の3作目「リバイバル」。
ご家族やコンクール以外で、僕らが初めての読者らしい。
感情の描き方が丁寧で、読みやすい。普通に面白かった。

 

社会人小説家の生活

くわ:仕事もしながら、小説も書いて、周りには「すごい」って言われると思うんやけど。。。

加納:会社の人には、自分からオープンにしてないけどバレます(笑)。私、他の人より出社が早いんですけど、「何時に起きてるんですか?」って聞かれて、正直に朝5時に起きてるって答えて。。。

くわ:5時!

加納:「なんでそんなに早く?」って聞かれるんで、お弁当作ったり、、、とか言うんですけど、「そんなに時間かからないよね?」って言われて、実は小説を・・・みたいな感じで。会社の飲み会の後、私は疲れて帰りたいのに、「加納さん、執筆のネタになります。何事も経験ですよ。」って連れて行かれたり。良いように使われます(笑)。

くわ:(笑)。

加納:でも、お弁当を毎日持って来てるし、日常の生活態度で「しっかりしてる」って言われることが増えてきました。

くわ:いつも朝に書いてるんですか?

加納:はい。朝が1番邪魔されないんで。夜は残業とか飲み会とか、友達と連絡を取ったり、色々ありますけど、朝5時から活動している人は少ないんで。私自身、早起きするのが嫌いじゃないですし、朝から自分の好きなことをやったった!っていう幸福感もありますし。

くわ:1週間、どんな感じなんですか?

加納:平日、1日だけで完結してますね。だいたい5時に起きて、お弁当を作ったりします。7時45分に家を出るんですけど、書くのは7時半までって決めて、7時からの30分間は必ず確保するようにしてます。仕事は19時、20時とかマチマチですけど、疲れて執筆する余裕はないですね。締め切り前は夜も何とか捻出しますけど、23時ぐらいには寝たいので。

くわ:いい生活ですねー。

加納:でも、土日は割とフリーで、お昼近くまで寝たりします。土日までそのサイクルだと、壊れてしまいますし。

ぽす:コツコツやってきたから、コンクールで認められたんだろうね。

加納:出版社の「1位になったら本になる」っていうので、1,300以上応募された中から、90ちょっとに選ばれました。プロの人からすれば「1次ぐらいで」と言われるでしょうけど、文芸誌に自分の名前と作品名が載って、メッチャ嬉しかったです。

ぽす:すごい!

加納:ちょうど実家にいる時で、両親と一緒に探して、飛び上がって喜びました。最終的な目標は本になることですけど、1つ認められたのが嬉しかったです。

くわ:日々書いてる中では、楽しい瞬間ってありますか?

加納:構想を考えている時ですかねー。書いていく中で、脱線したりしますけど。「自分の頭でこんな世界が生まれた!」っていう感じです。あとは、原稿を印刷した時ですね。パソコンの画面でも読めますけど、紙の束にした時に、自分の生み出したキャラクターがそこにいる

くわ:ほぉー。

加納:登場人物の設定は作りますけど、自分の構想通りには動きません。自我を持って、勝手に動いてくれて。それが嬉しいです。

ぽす:勝手に動いていく。。。

加納:私は支配者じゃなくて、彼らの人生の一部を書いてます。それまでの流れがあるから、私の構想通りでは不自然さがあったりして、最初の設定はきっちり考えるけど、後のストーリーはざっくりですね。

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小説家って、どうやってなる?

ぽす:読書会とかにも行ってるんだよね?

加納:上京して一時期、同じ趣味の人がいそうだと思って行ってたけど。。。人付き合い得意じゃないし、そこまで深くは繋がれてないですね。今は書くことに専念していたいし、本が好きでも、私が好きな村上春樹が嫌いな人もいるし。

くわ:小説って、どうやって上手くなるんですかね?スポーツとかと違って、全然イメージできないなー。

加納:小説家講座とかに行くこともありますけど、アマチュアなりに自分のスタイルがあって、何か違うなーと思ったり。東京に出てからの葛藤ですね。小説を書いていると声がかかることはあるけど「本気でなりたいなら、編集者とか紹介するよ」って言われても、「私の作品も読んでないのに」と思ってしまいます。

くわ:なるほどー。。。

加納:自分の頑固さを持て余すところはあるけど、小説ってそういうのが無いと書けないと思いますし。でも、私自身強い人じゃないから、否定されるとダメージを受けるんで、小説を書いているコトは人の顔を見て言ってます。

くわ:ふむ。

加納:大学生の時も、夢を語る場みたいな所で、主催者の友達に「自分の好きなコトがしっかりしているのはスゴイけど、人を巻き込む力が足りない。」って言われましたね。人を巻き込むのは苦手ですし、基本的には得意なコトを伸ばした方が良いと思うんで、自分がコツコツやって、興味を持ってくれる人を惹きつけるようにしたいと思ってます。

 

 

これから、どうなりたい?

くわ:聞いていくと「絶対、小説家になりたい!」って感じではないですよね?

ぽす:書き続けたい、って感じ?

加納:そうですね。。。本を作りたいだけなら、いくらでも達成できますけど、「次の作品も読みたい!」「次はこうきたか!」って思ってもらえるのが夢ですね。(ペンネーム)村崎舞子で。そのためには、勉強し続けないといけないし、書き続けないといけない。

くわ:村崎舞子は、小説の登場人物の様に、加納さんとは違う人間なんですね。

加納:この人(村﨑舞子)が、文章を書く人として慕われたいと思ってます。私の顔も何も知らない人が、村﨑舞子の文章を面白いと言ってほしい。「金持ちになりたい、有名になりたい」で小説家になる人もいますけど、私は読者と会話したい。私の人間関係のスタンスと被ってくるけど、私の文章を好きな人、解ってくれる人に書いてます。

くわ:いいですねー。

加納:関西の人って、ずっと自分の意見を話して、「まぁ、知らんけど。」で終わりますよね。私の作品も、好かれないかもしれないし、合わないかもしれない。でも、1番の情熱は、「作品を書きたい、届けたい。まぁ(読んだ人がどう思うかは)知らんけど」です。プロとして、生計を立てるのが夢ですけど、それは人がどう評価するかなので。叶わなくても、書き続けたいと思います。

くわ:なるほど。。。小説のどこが好きですか?

加納:小説って、問題提起だと思うんです。こういう境遇の人もいるとか、人間が葛藤する部分とか、人間の弱さとか、スポットライトが当たらない部分を丁寧に描きたい。人間って、そんなに簡単に整理できるものでは無いんで、そういうのを書き続けたいと思います。

くわ:ふむふむ。。。

加納:私は文章を書くのが得意だからやってますけど、UKロックバンドとかも好きですし、楽器が得意なら作曲をやっていたと思います。絵が得意なら画家でも。表現しやすいって意味で、1番しっくりくるのが物語でした。

小説「リバイバル」より抜粋

「アーティストってなりたくてなるわけじゃなくて、気が付いたらなっているってものだとわたしは思うの」
「夢中で楽器を弾くから気が付けば曲を作っているし、夢中でスケッチブックの空白を埋めようとするから、絵が生まれていくの。」

 

ぽす:あゆ(浜崎あゆみ)と同じこと言ってる。

くわ:アーティストやなー。

加納:社会人としての自分と、小説を書いている時と、使い分けてますね。普段は自己主張せず、人から投げられたボールを返すスタンスです。どっちが本当の私なのかって言うと、社会人としての自分は後から形成されたもので、小説を書く自分が本当な気がします。

くわ:難しいですねー。

加納:親友にも、小説を書いていることは最近まで言ってなかったです。夢物語と言われるでしょうし、小さい時から、そういう私を受け入れられる人って、多くないと思って過ごしてきたので。傷つかないための予防線ですね。

ぽす:小さい時から思ってたの?

加納:小学生の頃から、他の人とは視点が違うと思ってました。教室の中での世論と、私の意見が違う。だから、本当に思っている意見と、建前の意見を分けていました。

くわ:ふむ。。。

加納:気の合わない人と無理して一緒にいるよりも、1人でいる方が楽。でも、そういうのを表に出すと、自分の立場が無くなる1人でいるのは恥ずかしいっていう思いもありましたし。

くわ:。。。

加納:社会に出て幅が広がって、生き方が自由になると、(そういう自分に)違和感が無くなりました。私が敢えて表現するのは、そういう自分を表現したいからですね。

 

編集後記

アーティストは、生き様が作品に出ると思う。
「自分を表現したい」というエネルギーは、苦しみから生まれている。でも、それに向き合っているからこそ、自分を表現できる。

僕ら2人は、いーま(加納麻衣さん)に書き続けて欲しい。
この記事を通して、村崎舞子のファンが増えたらいいなと思います。

以上。最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m

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