幸せそうな人インタビュー⑦加藤大輔さん「どんな状況でも、前向きに思えることがある」

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加藤大輔(Kato Daisuke)さん

  • 32歳 二児の父
  • 辻学園調理・製菓専門学校 教員

※加藤さんは、桑理が大学時代に長期インターンシップをした時のコーディネーター。27歳の時に世界一周を達成された。桑理がインドに行く前、たくさんアドバイスを頂いた。

 

 

桑理:2人目のお子さん、おめでとうございます。

加藤:ありがとう^^。明日、嫁と子供が実家から帰ってくるんだ。

桑理:そうなんですね!お忙しいところすみません。

 

 

できないことは悩まない

 

桑理:まず、幸せそうに見えることについて、ご本人ではどう思われますか?

加藤:悩みがなさそう」とは言われるかな。そんなこと無いのに(笑)。でも、いつも楽観的かな。

桑理:悩んでいる姿は、イメージないですね。

加藤:壁にぶちあたることは、誰にでもあると思う。そんな時も「自分にできることをやればいい」って考えてる。今日は天気悪いとか、変えられないことに悩む必要はないよね。

桑理:ほぉ。

加藤:自分にできることがあれば、それをすればいい。できないことは悩む必要ないと思ってるから、天気が悪いから憂鬱になるとか、変えられないことで悩んではないかな。シンプルに生きてる

桑理:それが幸せそうに見える要因でしょうか?

加藤:要因の1つ、、、かな。悩んでる顔はしてないと思う。

桑理:実際は、幸せだと感じてらっしゃるのでしょうか?

加藤:幸せだよ!でも、世界一周をしている時、桑理君みたいに「幸せは何か」を真剣に考えたことがある。

桑理:ほぉ。

加藤:インドやボリビアのような、スラムもある貧しい国に行って。ゴミ袋で屋根を造って生きている人がいる。栄養失調で髪の毛が茶色くなった子供がいる。衝撃的だった。でも、その子供たちは幸せそうなんだよね。それを見た時、「幸せは何か」を考えざるを得なかった。日本はたくさんお金を稼いでいる、経済大国。でも自殺している人が年間3万人。幸せイコールお金じゃない。じゃあ「幸せは何だ?」って。ループにハマったことがある。

桑理:難しいですね。。。

加藤:でも、旅の中で考えがシンプルになった。日本では蛇口ひねったら水が出てくる。温かいシャワーもある。でも、旅だとそれは当たり前じゃない幸せの敷居が下がったかな。いい服着て、美味しいもの食べて。それも幸せだけど、旅をしてちょっとしたことでも幸せを感じるようになった。

 

 

どんな状況でも、前向きに思えることがある

 

桑理:改めて、世界一周をされたきっかけを教えてもらえますか?

加藤:小学校の時だったかな?夢作文みたいなのに「世界一周したい」と書いたことがあった。お父さんが旅行会社で働いていてね。添乗員で海外によく行って、いろんな珍しいお土産を買ってきてくれた。それに影響されたのかな。でも、時間が経つにつれてその夢も忘れていた。

桑理:ふむ。

加藤:それを思い出したのが、社会人1年目の頃。「そろそろ社会のこと勉強しなきゃな」と思って、本屋で松下幸之助さんの本とか見てたの。その時に、高橋歩のWORLD JOURNEYに出会ったんだよね。「世界一周って普通の人でも行けるんだ」って思った。中古車買うぐらいのお金で。その本を読んでから、世界一周が現実的になった。

桑理:私がインドに行く前にも、紹介してもらいました。

加藤:そうだね。とは言っても仕事があるし、実際には行かなかった。でも、24歳になる前ぐらい、お父さんが亡くなってね。それまで、自分に近い人が死んだことが無かった。「人間、いつか死ぬんだな。どうせ死ぬならちゃんと生きなきゃ。」と思ったんだ。そしたら「俺の人生って普通だな」って。普通に学校を卒業して、普通に働いてる。

桑理:。。。

加藤:サッカーを一生懸命やって、大学選抜にも選ばれた。プロになりたいとは思ってはいたけど、テストを受けたりはしてなくて。「俺よりうまいやつなんてたくさんいる」って、自分でフェードアウトしてきた。「世界一周も本を読んでワクワクするだけか。せっかく小さな頃の夢があるのに、またフェードアウトするのかな?」って。

桑理:なるほど。。。

加藤:それで、もう1つきっかけがあってね。当時2年ぐらい付き合っていた彼女がいて、一緒に住んでた。結婚の話も進んでいて、指輪も買って、式場も決めていたんだ。でも、結婚がなくなった。彼女が浮気していてね。これが人生で1番落ち込んだこと。向こうの親が謝りにきた。仲の良かった向こうのお母さんが泣きながら「私の育て方が悪かった」って。すごくショックだった。

桑理:。。。

加藤:その時に考えたんだ。喫茶店に1人で入って、ノート出して「この状況でも前向きに思えることは無いか?」って。そしたら、いくつか出てきた。子供出来てなくて良かった、結婚式の招待状を書いてなくて良かった、もっといい人と巡り合えるチャンスだ。。。

桑理:そうですね。。。

加藤:26年間の人生で1番落ち込んだ。でも前向きに思えることがある。それから、人生を前向きに考えられるようになった

 

 

人生は一度きり

 

加藤:でも不思議だよね。人との別れがあると悲しいけど、強くなれる。もちろん、別れは経験したくないけど。優しい人を見ると「この人は、辛いことを乗り越えてきたんだな」と思うんだ

桑理:なるほど。。。

加藤:この際だから話すけど、9.11のテロでお父さんの旅行会社が大不振になって、早期退職でお父さんは辞めたんだ。それで、昔からやりたかった焼鳥屋さんを開いた。僕もちょっと手伝った。でも上手くいかなくてね。店を閉めて、自己破産。自己破産って、お母さんの財産も取られるんだよね。そんなこともあって、大学生の時に両親が離婚。「自分は何て不幸なんだ。親父はなんて情けないんだ。」そう思った。

桑理:。。。

加藤:それからお父さんとは会っていないし、連絡も取っていない。でも、社会人になって考え方が大人になってきて、「お父さんも辛かったんだろな」と思うようになった。でも、こっちから連絡できないんだよね。その当時、付き合っている彼女を紹介したいとも思ってた。そうしている時に、おばあちゃんから連絡があった。お父さんが亡くなったって。自殺だった。

桑理:。。。

加藤:お父さんに電話の1本でも入れていたら。。。タイムマシンがあるとしたら、あの時に戻りたいな。。。

桑理:そうだったんですね。。。

加藤:世界一周したのは、この2つがきっかけだね。普段聞かれた時は「小さな頃から夢だった」と答えて終わらせちゃうけど。世界一周を終わって成田空港で荷物を受け取った時、生まれて初めて、雄たけびをあげたいくらい嬉しかった。「夢を叶えたんだ!」ってね。
あなたは人生で夢を叶えたことがありますか?」と聞かれたら、胸を張って「イエス」と言える。それが嬉しかった。

 

 

前向きに生きていたら、出会うべき人に出会う

 

加藤:ベラベラしゃべっちゃったけど、こんな感じで大丈夫?

桑理:もちろんです。大丈夫も何も。

加藤:嫁と出会った話は、桑理君にしたことあったっけ?

桑理:「世界一周の途中に出会った」くらいしか知りません。

加藤:嫁とは世界一周の2か国目、ハワイで出会ったんだ。世界一周でハワイに行く人はあまりいなくてさ。「芸能人がお正月に行くような、ミーハーな所だろ?」と思っていた。でも、皆が良いと言うのは何かあるかなと思って、コースに入れたんだ。悔しかったけど、とろけたね(笑)。ビーチがすごいキレイ。

桑理:いいですねー。

加藤:ダイヤモンドヘッドという山があってね。サンダルと短パン・Tシャツで行ったんだけど、思ったより険しくて。周りの欧米人はちゃんとした装備だった(笑)。でも、サンダルで頑張って登った。すごくキレイだったね。

桑理:ほぉー。

加藤:下山している時に、登ってくる日本人の女性がいた。その人もサンダルだった。おもしろい娘だなと思ったけど、その時は何も話してないんだ。登りと下りで一瞬だったしね。でも、バスに乗って違うビーチに行ったら、そこでまた会って。今度は声をかけた。それが嫁との出会い。前向きに生きていたら、出会うべき人に出会うんだね。

桑理:そうだったんですか!

加藤:嫁は友達の結婚式でハワイに来て、終わってから1人でハワイを回っていた。それから2・3日、一緒にハワイを回って、とても楽しかった。でも、向こうは仕事だから帰ってしまう。寂しいなと思った。結婚が無くなったことで傷心していたけど「これは好きかも?」と思って、向こうに話したんだけど、フラれたんだ(笑)。

桑理:えっ!?

加藤:向こうは沖縄の西表島のホテルで働いていて、俺は北海道。「ちゃんと考えたら難しいと思う」って。また傷心だね(笑)。

桑理:ほぉ。。。

加藤:でも、1週間後ぐらいにメールが来た。「ハワイで一緒にいた時が楽しかった。私やっぱり好きです。帰国するの待っています。」ってね。でも、まだ2か国目だから帰れない。手もつないだことの無い遠距離恋愛が始まった(笑)。

桑理:すごく良い話。。。僕のブログになんて、書いてもいいんですか?

加藤:とんでもない(笑)。

 

 

好奇心・冒険心を持って、明るく生きる

 

加藤:でも、一瞬早くても、一瞬遅くても出会っていないと思うと、不思議だよね

桑理:素直に、感動しました。

加藤:いえいえ、こちらこそありがとう。こんな話を改まってすることもなかなか無いしね。

桑理:では最後に。周りに対して「こうしたらいいのに」など思うことはありますか?

加藤:難しいよね。。。皆それぞれ、考えて生きているから。

桑理:そうですねー。

加藤:そうだな。。。。娘への手紙をワードで書いているんだ。父親として伝えたいこととか、あの時はこう思っていたとか。娘が20歳になった時に渡してあげたいと思ってる。

桑理:ほぉ!

加藤:そこに最近書いたのが「好奇心を持って生きて欲しい」だね。親は「それはダメ、あれはダメ」とついつい言ってしまう。でも好奇心を持ってチャレンジすることが大事だと思う。あとは「勇気を持って、冒険心を持って生きて欲しい」って書いたかな。自分の直感に従って生きて欲しい。そうしたら、出会うべき人に出会えるようになっているしね。

桑理:素晴らしいですね。。。

加藤:知っていることと、体感することは全然違う。ペルーにマチュピチュがあるとか、知っていても実際に行って体感することは違う。貧しい国があるって誰もが知っているけど、目の当たりにした時に当事者になる好奇心を持っていきないと体感できないよね。1歩踏み出さないと。子供たちに対して思うことは、こんな感じかな。

桑理:なるほど。。。ありがとうございます。

加藤:幸せとか、社会貢献とか、いろいろあるけど、明るく生きて欲しいな。笑顔で明るく生きているだけで社会貢献だと思う。貧しくても幸せな人はいるし、お金稼いでいても自殺する人がいる。何が正解なのかは分からないからね。

桑理:そうですね。。。

加藤:若い時に海外に行くのは良いことだと思うな。ワタミの社長も若い時に旅をしている。

桑理:ソフトバンクの孫さんもですね。

加藤:旅をすると生きる力が身に付く。友達はできるけど、基本的に1人。あの穏やかな孤独感が、成長させてくれたな。仕事でも、1人でなんとかしないといけない時が成長させてくれると思う。

桑理:1人になると、やるしかないですもんね。

加藤:道を聞いたり。見たことない食べ物を食べたり。英語だけじゃない。スペイン語、アラブ語、ヒンディー語、いろいろ勉強したな。「かわいい子には旅をさせろ」とはよく言ったものだよね。最近、昔の人の言うことがよく分かるようになってきた(笑)。子供は超かわいいもん。

桑理:(笑)。

加藤:モンスターペアレントとか、親の問題がたくさんある。親が大学入試についてくるとか、気持ちも分かるけど。どこかのタイミングで、親の方から子離れしないといけないタイミングがくると思ってる。サッカーの香川とか、親がすごいと思うよ。中学からサッカー留学だもんね。一流になる人は、親の覚悟もすごいと思う。

桑理:テニスの錦織もですねー。

加藤:そうだね。親になって自分が成長することもたくさんある。子供には親しかいないから、親としてのあり方をちゃんと見せなきゃいけない。たまに嫁とケンカすることもあるんだけど、3歳の娘が「落ち着いて」とか言うんだよ(笑)。子供は親のことをよく見ているよね。

桑理:かわいいですね^^。

加藤:こんな感じで大丈夫かな?

桑理:もちろんです!またお話聞かせてください!

加藤:うん!今度は飲みに行こう!

 

 

編集後記

 

他人の過去の話を聞いて、こんなに感動し、衝撃を受けたのは初めて。さらに、その話をネットに公開しても良いと仰る。
加藤さんには隠したい過去なんて1つも無いのだろう。聞かれたら、答える。年齢とかそんな問題じゃなく、自分がとても子供に思えた。

そんな加藤さんでも奥さんとケンカをすることがあるらしい。それにホッとして、ちょっと嬉しかった。

私は、このインタビューを楽しくてやっている。でも、今回は1つ上のステージにきたと思う。この話を、悩んでいる人みんなに読んで欲しい。皆様、シェアお願いします。

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