桑理千尋さん「褒められるから楽しい。でイイと思う」

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桑理千尋(Kuwari Chihiro)さん

  • 僕の妹 2つ違いの23歳
  • 小学校は男子に混ざって野球
    (プロ野球選手になりたかった)
  • 中学校は剣道部
  • 高校は野球部マネージャー
  • 専門学校2年を経て、美容師4年目

京都河原町のquadrille citronnier 【カドリエ シトロニエ】という美容室で働いてます。
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妹だからってワケじゃなく、インタビュー対象として面白そうだと思い、僕からお願いしました。

 

 

美容師の仕事

 

兄:今やってることは?

妹:今は、、、美容室で美容師として働きながら、人とのつながりを広げてるかな。

兄:ほぉ。

妹:友達だから店に来てくれるってワケじゃないけど、性格を解ってくれる人の方が切ってもらいやすいし、「ココをもうちょっと切って」とか軽い気持ちで言えると思う。

兄:確かに。

妹:今年も新しい出会いがイッパイあったし、フットワーク軽く、何でも言いやすい関係の人を増やしてる。リラックスして美容室に来れる人が増えたらイイな。

兄:ふむふむ。

妹:最終目標は自分の店を出すこと。店の名前は、フランス語でも何語でもイイから、「くわりん家(ち)」の発音にしたい。その時には名字変わってるかもしれないけど(笑)。

兄:ほぉほぉ。

妹:「くわりん家に行く」みたいな友達の家に行く感覚で来て欲しい。スウェットでもイイし、ぬいぐるみを持って来てもイイし。テレビ見ながら「今の髪型どう思う?」って話して、ちょっとだけ切って1,000円とか。別に髪切らなくてもイイし。

兄:なるほどねー。

妹:「白髪出てるし、カラーした方が良い」ってこっちから言って、本人が納得したらその時は5,000円もらったり。信頼関係があって、リラックスして話し合える。そういうお店がしたい。

兄:うんうん。

妹:普通の美容室やと、お客さんが「パーマしたい」って言うなら、私が「ストレートが似合ってるのに」と思う人でもパーマしないといけない。お店全体を考えたら「お客さんがしたいって言ってるのに、なんでしなかったんや!」ってなるし。

兄:そうやなー。

妹:お客さんのこうしたいと、美容師のこうした方がイイが一致してると良いと思う。そうやって言い合える人間関係を、イッパイつくっておきたいな。

 

 

人間関係をつくる

 

兄:言い合える人間関係って、どうすればつくれる?

妹:うーん。。。京都・奈良・大阪と引越してきて、電車で1時間ぐらいの距離でも、引越してから連絡を取る人は3・4人しかいない。でも、それぞれの場所に3人は本当の友達がいる

兄:ふむ。

妹:その友達の紹介で私の美容室に来てくれた人は私に合ってるし、何回も通ってくれるようになる。仕事終わりとかにご飯に行くようになって、その友達がまた紹介してくれるようになったり。

兄:へぇー。

妹:お客さんの半分がそんな感じで、月に20人~30人くらい。メッチャ幸せなことやと思うし、メッチャ感謝してる。その友達が恋愛関係で悩んでたら、絶対話を聞きに行く。終電が無くても。今は彼氏いないけど、彼氏いても関係なく (笑)。

兄:ほぉ(笑)。

妹:寝る時間よりも優先かな。そうすると自分に返ってくるモノもあるわけやし。

兄:その友達に、どういう人って思われたい?

妹:「必要な時に、言ってほしい言葉をくれる人」かな。

兄:ふむ。

妹:例えば、「リストカットした」って連絡が来たとして。絶対に「頑張れ」って言ったらアカンと思う。「生きててくれてありがとう」とか、「全部は解ってあげられないけど、話は聞くで」とか。

兄:そうやなー。

妹:お客さんに対しても、そんな風に言ってほしい言葉を言いたいな。もちろん、本心じゃないといけないと思うけど。

兄:うんうん。

妹:「白髪が気になる」って言う人に「全然そんなことないですよ」って言うのはウソになるけど、「もっと明るい色にすると良いと思いますよ」みたいな感じで。ウソくさい「お似合いですよ」は言いたくないし、美容師として失格やと思う。

 

 

人間関係を意識して育った

 

兄:なんで「言ってほしい言葉を言いたい」って思うように?

妹:口がウマくなければ、生きていけなかったからねー。男の中で野球してて、女の子から男好きって言われたり。

兄:ほぉ。

妹:でも、その子が言うのは私が仲良くしてる〇〇君のコトが好きやからやし。2人を仲良くしようとしてみたり、自分は〇〇君に興味無いって言うアピールを覚えたり。小学校の頃から鍛えられてきたな。

兄:なるほどねー。

妹:高校で野球部のマネージャーしてた時は、彼女から恨まれたりしてたけど(笑)。

兄:恨み(笑)。

妹:それは、彼女が愛されてるか解らなくて不安やからやし。私が彼氏の方に、彼女の話をたくさんするようにして、彼女の方には「あいつは、△△さんのことばっかり言ってるよ」って言う。それを聞くと彼女は安心するし、事実やから。マネージャーやから2人きりになってしまう場面はあるけど、彼女さんに桑理を認めてもらえば大丈夫。

兄:すごいなー。

妹:必要やからやってきたけど、「この人、この言葉が欲しい」って考えるのは嫌いじゃないな。

 

 

なぜ美容師に?

 

兄:なぜ美容師になろうと?

妹:それは、95%お母さんやなー。

兄:うんうん。

妹:私が90点のテストを持って帰っても、祥くんは100点ばっかりやから喜んでくれなくて。でも、祥くんは美術が苦手で、私が絵のコンクールで入賞するとお母さんは褒めてくれた。

  • 兄(祥くん)の通信簿は、オール5で美術だけ3。手先が不器用。
  • 妹(ちー)は手先が器用。暗記が苦手。

妹:最初、お母さんは私に、教師になって欲しいって言ってた。自分の親に反対されて、教師になれなかったらしくて。でも、私は教師にイイ思い出が無いし、子供もそんなに好きじゃない(笑)。

兄:(笑)。

妹:それでお母さんが「ちーは手先が器用やから、美容師とか向いてそう」って言って。しっくりくると思って考えてみたら、体育祭とか文化祭で友達の髪を撒いてあげて、「あの子カワイイ」って言われてるのを見るのが好きやった。

兄:なるほどねー。

妹:専門学校に行ったばかりは後悔もした。大学生になった友達は遊んでいるし、女子プロ野球はどんどん盛んになるし。でも、やればやるほど人に褒められて、コンテストでも評価されて、どんどん趣味になっていったな。キレイにパーマが撒けることが自分の趣味

兄:ほぉー。

妹:ずっと褒められかったし、今でもそんな感覚。褒めて欲しい相手が、親からお客さんに変わっただけかな。

 

 

小さい頃の夢

 

兄:なんでプロ野球選手になりたかったん?

妹:小さい頃に、家の前で祥くんとお父さんがキャッチボールしてて、私も仲間に入れて欲しかったけど「危ないから下がってなさい」って言われて。

兄:ふむ。

妹:私も野球が出来るようになったら、仲間に入れてもらえる。そう思って始めたら、メッチャ楽しかった

兄:ほぉ。

妹:その頃、女子プロ野球も無くて、中学では男についていけないと思って辞めちゃったな。中学は、棒を持って振るところが1番似てると思って、剣道部に入った(笑)。

兄:そうやったんや(笑)。

妹:その頃に、女子プロ野球が生まれてねー。。。高校ぐらいまでは、本気で後悔してた。あの時、野球をしておけば、私もなれたかもしれないって。今でも、女子プロの広告を見るとちょっと悲しくなる。

兄:。。。

妹:マネージャーとして見てたけど、高校まで野球をやって、やり尽くしたと思って辞めてるのが羨ましかったなー。

兄:野球のどこが楽しかった?

妹:その時、祥くんが野球してて、お父さんがコーチで、お母さんもソフトボールしてて。野球しか楽しいことを知らなかったんかな?

兄:野球に関わる仕事をしたいとか、今はない?

妹:今でも、プロ野球はあんまり見たくないな。家でお父さんが阪神の試合見てても、私は見ないようにしてる。

兄:ほぉ。。。

妹:美容師の仕事が幸せだと思いたいからかな。野球を仕事としてる人達を見たくない。逆に、祥くんはそういうの無いの?

兄:僕は、野球を見た方が元気になるかな。。。野球の上手さもそうやけど、あのレベルになるまで努力できるのがスゴい。僕はケガばっかりやったし。

妹:なるほどねー。

兄:自分の限界が見えて、納得したのが大きいかな?

妹:私は、「女子はプロになれない」って限界が見えてたから。。。

兄:なんで、小学生の時にそこまで考えてたん?

妹:小学校4年生の時、私が甲子園に出たいって行ったら、祥くんが女子は甲子園に出れないって言って。私が泣いたら「祥真、なんでそんなこと言うの」ってお母さんに怒られてた。

僕も何となく覚えているが。妹のこういう記憶は、時期まで正確。

妹:祥くんは正しいことを教えてくれただけやのに。私が野球してることが、皆に気を遣わせてるって気付いて、小学校までにしようと思ったな。

 

 

「褒められるから楽しい」でイイと思う

 

妹:男の子と野球やってたから、そんなに褒められなかったけど、ただ楽しかった。美術はメッチャ好きでは無かったけど、褒めてくれる人がいるから楽しかった。美容師の仕事も、褒めてくれる人がいないと続けられないかな。

兄:ふむ。

妹:仕事にするなら、自分がやることによって喜んでくれる人がいないと。お金を払ってくれる人がいて初めて意味があるし、褒められたいと思ってやることは、間違いでは無いと思う。

兄:そうやなー。

妹:もちろん趣味が仕事になれば1番良いけど。プロ野球選手も、観客に楽しんでもらわないといけないから、自分が好きな様にはプレーできないし。誰かがお金を払って自分を選んでくれるから、仕事になる。美容師も、自分への指名が無いと。

兄:高校生に「好きなコトと褒められるコト、どっちをしたらいいと思いますか?」って聞かれたら、どう答える?

妹:好きなコトは趣味でも良いと思う。趣味がスノボとかだったら、社会人になっても続けられるし、それが仕事になっても幸せとは限らないと思うな。

兄:ふむ。

妹:仕事だと自分のやりたいようには出来ないから、好きなコトは趣味で置いといたら良いと思う。褒められて嫌な人はいないし、褒めてもらえることが仕事になればイイんちゃうかな。

兄:じゃあ、、、「何をしたらイイか解らない」って人には?

妹:それは難しいけど。。。何もかも、全部嫌いな人っていないと思う。移動するだけでも、電車に乗ることが好きとか、歩き、車、自転車・・・

兄:ふむ。

妹:車が好きならタクシードライバー、電車が好きなら電車の運転手、とか。。。歩いて何かを調べる仕事もあるだろうし、自転車で新聞を配ってもイイし。細かく分けて考えると、何かあると思う。和食が好きなら、バイトするのも和食屋さんで働いたら、まかないが美味しいやろし。

兄:なるほどねー。

妹:細かくジャンルごとに考えたら、何が好きって絶対あると思う。1番じゃなくても、消去法で良いと思う。これよりもあれが好きって、消去法でいったら何か見つかるんちゃうかな。私も、美容師が1番とは思わなかったけど、やり込めば楽しくなったし。

 

 

家族と友達

 

兄:ちーにとって親の影響が大きかったワケやけど。。。子供はどうやって育てたら良いと思う?

妹:興味のあることには、全部チャレンジさせてあげたいな。「アレって楽しいの?」って聞かれたら、とにかく全部させてあげたい。それには、金銭的にも余裕が必要やけど。

兄:ふむふむ。

妹:あと・・・家族って血の繋がりがあるから、よっぽどのことが無い限り、切っても切れないと思う。だから「親を喜ばさんで良いから友達を大事に」って言いたいな。

兄:なるほどー。

妹:ケンカしても家族は家族やし。それよりも、友達とか恋人とか、自分が数ある中から選んだ人を大事にして欲しいな。

 

 

編集後記

 

2人とも、小さい頃は野球選手になりたかった。
結局、兄は会計士、妹は美容師。得意なことを仕事にしている。

「会計士になるって、高校生の時によく決めれましたね。」とよく言われるが、妹もそう。
夢を諦めた分、得意なコトをしなきゃ、気が済まない褒められなきゃ、やってられない

ちなみに、アルコールに強いDNA。
「飲んだ方が話しやすい」ってことで、2人ともインタビュー中に3杯空けた。

「桑理には、何でも言える」
そんな桑理家を目指します。今後とも、よろしくお願いします。

 

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