「監査法人のガバナンス・コード」を解説します

金融庁が

  • 監査法人の組織的な運営に関する原則
    監査法人のガバナンス・コード

の案を公表し、2017年1月31日まで意見を募集しています。

「ガバナンス・コード」とは

コトバンクによると

ガバナンス【Governance】 統治
コード【code】 規定、規則

」なんて、日常生活で使う言葉ではありません。

統治 主権者が国土・人民を支配し、治めること。

古クサい言葉が並んでいます。
日本語に訳さず、カタカナでそのまま理解した方が良さそうです。

ガバナンス【Governance】の説明をもう少し引用すると

  • ガバメント【Government】とは対照的な統治として位置づけられる。
  • ガバメントは政府が上の立場から行なう、法的拘束力のある統治システムである。
  • 一方、ガバナンスは組織や社会に関与するメンバーが主体的に関与を行なう、意思決定、合意形成のシステムである。
解ったような、解らないような。。。
「ガバナンス・コード」とインターネットで調べると、
コーポレートガバナンス・コード【Corporate Governance Code】

が出てきます。

 

「コーポレートガバナンス・コード」とは?

コトバンクによると

  • 上場企業が守るべき行動規範を示した企業統治の指針
  • その実施を一律に義務付けるものではない
  • しかし「Comply or Explain」として、何らかの事由でそれを実施(Comply)しない場合は、投資家にその理由を説明(Explain)することが求められる。

違反しても罰はありませんが、「実施せよ。実施しないなら説明せよ。」です。

コーポレートガバナンス・コードは、

  1. 5つの基本原則
  2. 基本原則の内容を詳細に規定した30の原則
  3. 原則の意味を明確にするための38の補充原則

なが~い文章です。
5つの基本原則だけで1,000文字以上あります。

見出しだけ、並べてみましょう。

①株主の権利・平等性の確保
  1. 株主の権利の確保
  2. 株主総会における権利行使
  3. 資本政策の基本的な方針
  4. いわゆる政策保有株式
  5. いわゆる買収防衛策
  6. 株主の利益を害する可能性のある資本政策
  7. 関連当事者間の取引
②株主以外のステークホルダーとの適切な協働
  1. 中長期的な企業価値向上の基礎となる経営理念の策定
  2. 会社の行動準則の策定・実践
  3. 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティーを巡る課題
  4. 女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保
  5. 内部通報
③適切な情報開示と透明性の確保
  1. 情報開示の充実
  2. 外部会計監査人
④取締役会等の責務
  1. 取締役会の役割・責務(1)
  2. 取締役会の役割・責務(2)
  3. 取締役会の役割・責務(3)
  4. 監査役及び監査役会の役割・責務
  5. 取締役・監査役等の受託者責任
  6. 経営の監督と執行
  7. 独立社外取締役の役割・責務
  8. 独立社外取締役の有効な活用
  9. 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質
  10. 任意の仕組みの活用
  11. 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件
  12. 取締役会における審議の活性化
  13. 情報入手と支援体制
  14. 取締役・監査役のトレーニング
⑤株主との対話
  1. 株主との建設的な対話に関する方針
  2. 経営戦略や経営計画の策定・公表

(見出しだけでも読む気が起こりませんが、)見出しの数を多さから「④取締役会の責務」の重要性が解ります。

その他、興味深い所では、

  • 【原則2-4.女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保
    上場会社は、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、社内における女性の活躍促進を含む多様性の確保を推進すべきである。

義務ではなく、「実施しないなら、説明せよ」ですが、

当社は多様性確保のために何もしてません。理由は・・・です。

と書くのも会社としてキツいので、何かすることになります。

 

なぜ「ガバナンス・コード」をつくるのか?

コーポレートガバナンス・コードは

  • 安倍政権の日本再興戦略に従い
  • OECD(経済協力開発機構) コーポレート・ガバナンス原則を踏まえ
  • 金融庁東京証券取引所有識者会議を開き

2015年6月から適用されました。

平たく言うと

  • 日本を良くするため
  • 欧米を真似して

作られました。

  • 2015年に東芝が大きな粉飾をしていたことが解り、
  • 金融庁は「監査を何とかしよう」と議論を始め
  • ヨーロッパで作っている国があったので

監査法人のガバナンス・コードも作ることにしました。

 

監査法人のガバナンス・コード(案)

コーポレートガバナンス・コードより文字は少なく

  1. 5つの基本原則
  2. 22の指針

からなります。

5つの基本原則だけ見ていきましょう。

①監査法人が果たすべき役割 監査法人は、・・・(略)・・・公益的な役割を有している。
これを果たすため、監査法人は、法人の構成員による自由闊達な議論相互啓発を促し、その能力を十分に発揮させ、会計監査の品質を組織として持続的に向上させるべきである。
②組織体制 監査法人は、会計監査の品質の持続的な向上に向けた法人全体の組織的
な運営を実現するため、実効的に経営(マネジメント)機能を発揮すべきである。
③組織体制 監査法人は、監査法人の経営から独立した立場経営機能の実効性を監督・
評価し、それを通じて、経営の実効性の発揮を支援する機能を確保すべきであ
る。
④業務運営 監査法人は、組織的な運営を実効的に行うための業務体制を整備すべきであ
る。
また、人材の育成・確保を強化し、法人内及び被監査会社等との間にお
いて会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべき
である。
⑤透明性の確保 監査法人は、本原則の適用状況などについて、資本市場の参加者等が適切
に評価できるよう、十分な透明性を確保すべきである。また、組織的な運営の改
善に向け、法人の取組みに対する内外の評価を活用すべきである。

コーポレートガバナンス・コードと同様に経営機能の監督・評価が重要視されていますが、

  • 監査法人に株主はいないので、項目は少なめです。
  • 人材(公認会計士)の能力が重要視されています。
    ⇒指針の中に
    非監査業務の経験事業会社等への出向などを含め、会計監査に関連する幅広い知見や経験を獲得する機会が与えられる」
    とあり、会計監査以外の経験が求められています。

 

クワリンボーヤの考え事

会計監査は、公認会計士しか出来ません。
監査法人のあり方」は「公認会計士のあり方」でもあります。

しかし、監査法人のガバナンス・コードで求められる

  • マネジメント
  • 人材獲得・育成

なんて、公認会計士の専門です。
※こういうのが得意な人は、公認会計士にならないでしょう。

  • 金融庁・社会の目は厳しくなる。
  • クライアントからの報酬は上がらない。

監査法人の経営は、難しい所に来ています。
すなわち、公認会計士の立場も、難しい所に来ています。

僕の想いは「会計士は少数精鋭、監査法人はIT人材を抱え込む。」ですが、
金融庁が会計士の合格者を増やしていて、大手監査法人としては採用せざるを得ない。

。。。。。難しいですね。

 

以上。最後まで読んで頂き、ありがとうございます(m_ _m)

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