学習性無力感。耳慣れない言葉です。Wikipediaではこう説明されています。
学習性無力感(Learned Helplessness)は、長期にわたって、ストレス回避の困難な環境に置かれた人は、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという見解。
約50年前、これを発見したセリグマン博士。犬を使って実験しました。(詳細は↓の本より)
予告信号の後、床から電気ショックを与えます。
- Aグループ:足でパネルを押すことで電気ショックを避けられる部屋
- Bグループ:どう頑張っても、電気ショックを避けられない部屋
その後、A・Bグループの犬を、壁を飛び越せば電気ショックを避けれられる部屋に入れました。すると、Aグループは80%の犬が逃げたのに、Bグループは30%の犬しか逃げませんでした。
「どう頑張ってもムダ」というのが学習性無力感です。人間の場合は、学習性無力感が鬱病につながると言われています。
- 「私は何をやってもダメ。」
- 「自分1人頑張ったって、何も変わらない。」
- 「何もしないでも生きていける。」
そう言って、何もしない鬱病予備軍の人。けっこういると思います。そこまで深刻ではなくても
- 「ダイエットしても、どうせ失敗する。」
- 「ジムに行っても、どうせ続かない。」
- 「自分は恋人を作るのに向いていない。」
そう言って、行動しない人。多いと思います。「自分はダメなんだ」という思いが、根底にあります。
なぜ、「自分はダメ」と思ってしまうのか?
理由は1つに、「人のせいにするな」と言われて育つことです。言い訳すると、とても怒られます。
褒められることもなく、「ダメだダメだ」と言われ続ける。人のせいにすると怒られる。これでは「自分はダメだ」と思っても仕方ありません。
子供への教育だけでなく、職場でも、家庭でも、同じことが起こっていると思います。
自分のお陰で成功した>自分のせいで失敗した
この方程式が成り立っていれば、「自分は出来るんだ」と思えます。やる気が出るでしょう。
失敗した時「人のせいにするな」と言う回数よりも、成功した時に「あなたのお陰で上手くいった」と言う回数を、多くしなければなりません。鬱病を増やさないためには。
褒めるべき時にちゃんと褒める。そんな組織が増えるといいですね。