日根野健さん「投資で世界を良くする」

 

日根野 健(Hineno Ken)さん

  • 大阪教育大学付属高校 平野校舎
  • 京都大学 教育学部
  • 公認会計士試験合格
  • 監査法人トーマツ(2007年退職)
  • 株式会社アクションラーニング 代表取締役(現在)

 

公認会計士になるまで

桑:公認会計士の勉強を始めたのは、いつですか?

日:簿記の勉強を始めたのが、大学3回生かな。

桑:何かきっかけが?

日:「将来、どんな仕事をしようかな?」と思った時に、サラリーマンより、自分の専門性を持ってやっていける仕事が良いと思って。弁護士会計士しか思い付かなくて、どっちがイイかと思ったら会計士やった。

桑:ほぉ。

日:弁護士には、「紛争を解決する」「自分の意見を主張して戦う」イメージがあって、僕はトラブルとか好きじゃないし(笑)。会計士の方がクリエイティブで、経営者に近い仕事かと思った。実際、会計監査は経営者から遠い仕事やったから、その時の勘違いやったけど。

桑:なるほど。。。僕も同じ様な理由でした。

日:ほぉ。

桑:専門家に憧れて、医者・弁護士・会計士と思ったけど、医者と弁護士は恐そうだったので(笑)。

日:そうやなぁ。僕は職業について考えたのが大学生になってからで、医学部じゃなかったから医者は選択肢に無かったけど。

桑:何学部だったんですか?

日:教育学部。

桑:教育学部から会計士は、珍しいですね。

日:珍しいけど、学年に1人ぐらいはいたかな。

桑:なぜ教育学部に?

日:教育大学付属高校に行ったのが大きいかなぁ。中学までは、岸和田の公立。高校から国立の進学校に行ったら、衝撃が大きくて。

桑:ほぉ。

日:下町の雰囲気あふれる公立中学から、進学校の国立大付属高校に行ったら、「こんな上品な世界があるのか」っていう衝撃を受けた。教育によって、人の成長の仕方が全然違うものになるのを感じた。下町風が良いとか、進学校が良いとかではなく、「同じ日本でも、環境によってこんなに違うのか!」と。

桑:ふむ。。。

日:高い教育を受けても不幸そうな人もいるし、ロクに勉強せず、教育を受けてなくても幸せそうな人もいるし。それが素朴に、「教育って、何なんやろう?」っていう疑問になった。

桑:なるほどぉ。。。

日:あと、両親が学校の先生やったのもあるかな。先生になりたかったワケじゃないけど、家庭で両親の学校の話を耳にする機会がよくあったし、自然と教育に興味を持つようになったんやと思う。

 

公認会計士① 監査法人

日:マジメに監査をやってるイメージがあったから、トーマツに入った。実際に入ってみてもそうやったな。しんどかったけど、入って良かったと思う。その時の面接官だった大先輩が、今はトーマツを退職して、アクションラーニングに協力してくださっている。

桑:すごいですね。トーマツには、何年おられたんですか?

日:4年くらいかな。

桑:辞めるまで、かなり早いご決断ですね。

日:同期の中では、割と早い方やったな。アクションラーニングをやりたくて、歳を取るほど辞めにくくなると思った。給与が増えて、子どもが生まれると、どんどん辞めにくくなる。

桑:ふむ。。。

日:ちょうど1人目の子どもが産まれた頃に、「子どもが生まれたから、フラフラしてられないんで、退職させてください」って上司にお願いした。「そんな理由で辞めさせてくれと言った人は、これまでいなかった。衝撃を受けた。」と後から上司から言われた(笑)。普通は、子どもが生まれたら、安定した仕事を続けるよね。

桑:そうですね(笑)。アクションラーニングをやりたいと思ったのは、いつからですか?

日:トーマツにいる時かな。

桑:誰かの影響とか、何かきっかけがあったんですか?

日:誰かの影響とかは特に無いけど、、、会計士になっても、教育に関わることをやりたいと思ってた。トーマツでも、学校の監査とかやらせてもらってたし。株式投資もすごく好きやったから、やりたいことを組み合わせたら株式投資の教育っていうカタチになった。会計士としての経験も活きるしね。

桑:なるほど。。。ややこしい質問になるんですけど。

日:

桑:自分で「△△が得意、〇〇をしたい」って考える人は少なくて、受け身な人が多いと思うんです。何か意識されてるコトとか、あるんですか?

日:うーん。。。別に、「自分のやりたいことを明確に持っている人が良い」とは思わないなぁ。

桑:ほぉ。

日:自分がやりたいことをイメージする人もいるし、自分独自でやりたいことは無くても「この会社が好きだから、この人が好きだから、それに乗っかろう」という人もたくさんいると思うし、そういう人も世の中には必要だと思う。

桑:なるほど。。。

日:どちらが良い、悪いではなく、それぞれの人に与えられている役割があると思うな。

 

公認会計士② 起業

日:トーマツを辞めてすぐ、アクションラーニングは生活していけるビジネスでは無かったんやけど、トーマツで担当してた会社の人が仕事を頼んでくれたり、トーマツ時代の先輩がいた監査法人でバイトをさせてもらったり、生活には困らなかった。すごくラッキーやったと思う。

桑:すごいですね。。。

日:何も考えずトーマツ辞めたけど、いろんな経験が出来た。業界がバブルやったから、日当が8万円とかの仕事もあったし、辞めたタイミングが良かったんやろな。

桑:ほぉ。。。

日:徐々にアクションラーニングのお客さんが増えてきて、2013年に楽天証券でオンラインセミナーの講師をさせて頂くようになったのが、事業が大きく伸びるきっかけになった。それまでもSBI証券で会場セミナーの講師をさせて頂いていたけど、楽天証券はオンラインだから働きかける人数も多いし。さらに、アベノミクスのスタートとタイミングが一致して、株式投資の注目度も上がってた。

桑:なるほど。アクションラーニングの競合というと、どこになるんですか?

日:投資セミナーの会社は、掃いて捨てるほどある。でも、決算書を見た長期投資で、専用の分析ツールも開発してる会社っていう意味で、競合は無いかな。

 

日根野さんのこれから

日:まずは、アクションラーニングで上場を目指す。それをやらないことには、次に進めないし。

桑:前に教えて頂いた、投資事業ですね。

簡単に言うと、「社会貢献を意識した投資ファンドの運営」を目指している。

日:その事業に進んでいこうと思うと、上場していることによる信頼がいる。上場の目的は、資金調達より、人材・お客さん・官公庁から信頼を得ること、協力してもらうことにある。

桑:なるほど。。。

日:アクションラーニングの経営理念は個人投資家とともに世界を変える。個人投資家の力を集めたら、世界をちょっとでも動かせる。それが、この会社の存在意義やと思う。投資の教育をして、次に自ら個人投資家のお金を集めて、世界を変えるために投資する。

桑:その理念は、いつ頃生まれたんですか?

日:大学生の時に、障碍児支援のボランティアをしてた。その子達は働く場所が少なくて、高校を卒業した後に力を発揮できる場所が無い。そういう子達が働ける場所を、いろんな企業が協力して創ったらイイと思った。

桑:ほぉ。

日:拡声器持って「〇〇運動」をすることで、社会を変えようとする人がいるよね。それも1つの方法やけど、僕はもっと違う方法で社会を変えていくことができると思う。変化を生み出すには、力を持っている人・企業がイイ方向に行かないと。

桑:そうですね。

日:本気で変えたいと思うなら、その力を持っている人にお願いするんじゃなくて、力を持ってる人が相談しに来るような存在にならないと。それが投資家だと思う。

桑:なるほど。

日:1兆円を持ってる投資家が、どこに投資しようか考えていたら、企業の経営者は耳を傾ける。その投資家が「障碍者雇用に積極的な会社に投資する」と言えば、その影響力は大きい。

桑:確かに。。。

日:それって、個人投資家にとっても良いことだと思う。定年で引退して、パソコンに張り付いてデイトレをやっている人がいる。それも否定はしないけど、そういう人ばかりの社会は不健全だと思う。「良い企業に長期で投資する人」が、せめて社会の過半数にならないと。

桑:そうですね。

日:年に1回、株主総会に行って、その会社が「どんな風に世の中を良くしているか」を確認する。そうすることで、個人投資家の人生も豊かになると思う。

桑:なるほど。。。投資と政治は、似てますね。

日:株を買うのは、株主総会で投票する権利を買って、経営に参画することやからね。でも、それを教えてくれる人がいない。アクションラーニングの競合がいないことが、日本の投資教育の問題を象徴していると思う。

桑:長期投資とは言っても、株価や株主優待ばかり見ている人が多いですね。。。

日:それも投資の楽しみの1つやし、それで一喜一憂するのは否定しない。でも、その後は我に返って、ちゃんと会社の実態を見れるかどうか。

桑:会社の実態を見る。会計士だからこそ、説得力がありますね。

 

アクションラーニングの仲間求む

桑:どんな人を求めてらっしゃいますか?

日:投資で世界を良くする」に共感して、可能性を信じることが出来る人。個性はどんな個性でも構わないし、男女・年齢・経歴も問わないし。いろんな人が集まれば良いと思ってる。

 

編集後記

聞かれなければ、あまり語らないそうだ。
物腰はとても柔らかい。

でも、発言はとても鋭く、行動力もハンパじゃない。
視野の広さに衝撃を受けた。

それぞれの人に与えられている役割

皆がそれを信じて、行動できる世の中になるとイイですね。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございましたm(__)m

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