磯部武志さん「情報の架け橋として、関西のベンチャーを盛り上げる」

磯部武志(Isobe Takeshi)さん

  • 徳島県鳴門市の出身
  • 大阪大学法学部
  • 卒業後 公認会計士論文式試験に合格
  • 有限責任監査法人トーマツに入所
    その後、トーマツベンチャーサポート株式会社と兼務
    2015年から、大阪大学経済学部大学院で非常勤講師

桑理の尊敬する先輩です。
僕にとって「関西を盛り上げる人」第1弾は、磯部さんしかいません。

 

会計士を目指した理由

磯部:社内で自分のプレゼンした時のスライドがあるから、それを見てもらいながら(笑)。

桑理:さすがです(笑)。

磯部:「すだち君」で有名な徳島県の鳴門市出身。

磯部:大学から関西に出てきて、大阪大学の法学部。

桑理:はい。

磯部:家庭環境は厳しかった。父親が、不動産関係で脱サラしたけど失敗。サラリーマンに戻ってお金を稼ぎ、再チャレンジするけどまた失敗。FXで大損したりもして、お金の面で少し大変やった。

桑理:ほぉ。。。

磯部:父親は、不動産の経験を活かして、競売物件の情報を届ける事業をやってたんやけど、その当時は全部アナログ。今はITを使って同じような事業をしてる会社があるから、「時代が合ってなかったんやなぁ」と父親と話してる。

桑理:なるほど。。。

磯部:父親は1人で事業をして失敗したけど、相談できる人がいたら違ったと思う。「ビジネス・数字に強い人がいたら」と、子供心に感じていた。

桑理:ほぉ。。

磯部:ビジネス・数字に強い人と言えば会計士。会計士になって、経営者の参謀として父親のような人を助けたいと、高校の時に思った。

桑理:高校生でそこまで。。。すごいですね。

磯部:その後、紆余曲折はあったけど、大学卒業後1年半で無事に合格。迷わずIPO(※)でナンバー1のトーマツを選んだ。

※Initial Public Offeringの略で、新しく株式を公開(上場すること。トーマツは新しく上場する企業の監査が多い。

 

監査からベンチャー支援へ

磯部:トーマツに入ってから上場企業の監査だけじゃなく、IPO支援ベンチャーキャピタルの監も出来た。これからIPOする会社は海外展開が必須やと思って、米国公認会計士の資格も取った。

桑理:すごいですね。。。

磯部:監査は楽しかったけど、「経営者の参謀になっているのか?」っていう疑問があった。土日とかに経営者の集まる飲み会に参加してたんやけど、監査の話だけで経営の話は出来ない

桑理:ほぉ。。。

磯部:そんな時、トーマツベンチャーサポートに出会った。当時、東京で3人でやってはったんやけど、経営者の支援をしながら、監査の仕事もやる。発狂しそうな働き方(笑)。

桑理:(笑)。

磯部:でも「これだ」と思った。最初は朝・夜・土日でベンチャー支援をしてたけど、少しずつトーマツの中でも認められて、まず監査と半分ずつになり、今は100%ベンチャー支援が出来るようになった。

※磯部さんがベンチャー支援を始めた頃に、桑理は「監査の仕事」で一緒になった。
ベンチャー支援に時間を割きながら、「監査の仕事」も質が高い
効率的な仕事のやり方、後輩への仕事の任せ方、ベンチャー支援の面白さ、、、いろんなコトを学んだ。

磯部:今メインでやっているのは、資金調達支援・事業計画の作成支援。経営者とディスカッションにしながら、一緒にやっていく。ベンチャーキャピタルとの面談の練習をしたりもする。

桑理:なるほど。

磯部:2016年は、大阪市のベンチャー支援プログラム(※)第1期の支援先が、合計で2億円の資金を調達できた。「遣り甲斐があったな」と思う。

OIHシードアクセラレーションプログラム」のこと。

グランフロントにあるOIH(Osaka Innovation Hub)を舞台に、大阪市からの委託を受け、トーマツが運営しています。

「短期間でベンチャーの事業を加速させる」を目的とした4か月間のプログラムで、ベンチャー企業10社が選ばれます。

  • 関西の大企業
  • 東西のベンチャーキャピタル
  • TV・新聞などのメディア

など、合計100名のメンターがいるのが特徴。

磯部:1998年に明石海峡大橋が出来たのが、徳島にとってすごく大きなことで。

桑理:ほぉ。

磯部:人がたくさん入ってきて、スポーツ・ファッション、いろんな情報が徳島に入ってきた。橋が出来て経済が変わったと思う。ベンチャーにとっても、情報があれば全然違う情報の架け橋として、ベンチャー支援をしていきたいな。

 

関西のベンチャー

磯部: 東京のベンチャーはすごく数が多くて、経営者が集まれる場所があって、情報が集まる。そこに資金も集まる。

桑理:ほぉ。

磯部:すぐにライバルに気付いて方向転換できたりして、成功しやすいけど、その分、成長の仕方がある程度決まってしまっていると思う。

桑理:なるほど。。

磯部: 関西は、情報が無い中で「ここにニーズがある」と信じてやってるベンチャーが多い。その分、粘り強くやらなきゃ届かないレベルまで行ってる会社がある。

桑理:ほぉ。

磯部:そういう会社が、ベンチャーキャピタルや大企業とディスカッションすることで、大きく成長できると思う。

桑理:なるほど。

磯部:5年後とかを考えたら、情報の壁は無くなっていって、東京や海外はもっと近くなる。そういう世界を想定しながら、僕らが情報の架け橋になって、関西のベンチャーを盛り上げていきたい

桑理:おぉ。

磯部:関西のベンチャーを盛り上げるため、「こんな面白い企業がある」って発信できる場を増やしていきたいな。サービスだけじゃなく、経営者のビジョン想いも。

桑理:そうですね!

 

関西は面白い

磯部:最近、特に楽しい。数社のベンチャーから、顧問契約も頂けることにもなった。

桑理:すごいですね!

磯部:Jカーブの谷間にある(売上が大きく伸びる前の)ベンチャーにとって、お金はすごく重要やのに、そのお金を払って呼んで頂ける。すごく身が引き締まるし、「父親を助けられるような経営者の参謀」に近づいてきたと思う。

桑理:素晴らしいです。

磯部:まぁ、楽しくやっています(笑)。

桑理:最後に、関西人にメッセージお願いします。

磯部:難しいね。。。何事も「面白さ」が大事やと思ってて。

桑理:ほぉ。

磯部:何をしてても苦しい事はたくさんあるけど、それを笑いに変えられるのが関西人やと思う。「笑う門には福来る」って言うか(笑)。

桑理:なるほど(笑)。

磯部:笑いに変えられたら、ビジネスでも人付き合いでも、うまく回っていくと思う。たまに「もっとマジメにやりなさい」って言われるけど(笑)。笑いマジメのバランスを取っていきたい。

桑理:いいですね!

磯部:草ベンチャー」っていう、ビズリーチの創業者の佐藤さんに教えてもらった言葉があって、

桑理:ほぉ?

磯部:いきなりベンチャーをするんじゃなくて、草野球みたいに趣味として、やりたいことをやる

桑理:なるほど。

磯部:大企業からそういう人が増えて、大企業も面白い、ベンチャーも面白い、面白いエコシステムが関西に出来ればいいな。

桑理:いいですね!

磯部:トーマツベンチャーサポート関西も、ベンチャー支援したい人を募集中です。桑理さんもぜひ草ベンチャーで参加を(笑)。

 

編集後記

笑いを大事にする磯部さん。
一緒に仕事をしている時も、笑いマジメのバランスがとても楽しかった。

インタビュー中も半分は笑っていたが、そのまま書いたら「僕の(笑)が多すぎる」とツッコまれた(笑)。

これから一緒に、関西を盛り上げていきたいと思います。

一緒にシリコンバレーに行った時、トーマツメンバーで。

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