会計士を捨てた人②吉原隆之介さん

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吉原 隆之介(Yoshihara Ryunosuke)さん

写真は妹さんお姉さんと。

  • 同志社大学商学部 卒業(中学校から同志社香里)
  • 大学3年生で公認会計士論文式試験合格
  • 兵庫県立大学会計大学院
  • 鉄鋼メーカー経理2年目 もうすぐ26歳

 

専門学校で出会った親友、よっしー。
僕の『大好き』は続けること。苦手だから。から2回目の登場です。

 

 

公認会計士を目指した理由

 

吉原:小学生の時に、母の知り合いに会計士の先生がいた。名前は覚えてないけど、クマみたいやからクマ先生って呼んでた(笑)。

桑理:(笑)。

吉原:商業高校に通ってた姉が、先生に簿記を教えてもらっててん。それが会計士を知ったきっかけ

桑理:ほぉ。

吉原:中学受験の時、勉強がイヤで塾を辞めてるねんけど、辞める時に相談に乗ってくれたのがクマ先生。親には言い出せなかったのに「りゅうのすけ君、やめたいんやろ?」って言ってくれた。先生とか親以外で初めての信頼できる大人。そこで、漠然と会計士に憧れた

桑理:なるほど。

吉原:先生の事務所に行ったりもしてて、親から「会計士は頭良くないとなれない」「お金稼げる」って聞いて、中学の時には会計士になろうと思ってた。難しい試験らしいけど、13歳のハローワークで読んだら「数字が好きなら向いてる」って書いてあったし。

桑理:中学って、早いなぁー。

吉原:高校2年生の時、文系か理系かの選択で、会計士になるなら商学部と思って文系を選んだ。数学・化学・物理が好きやったから、何で文系?って感じやったけど。漠然とした会計士への憧れで、そこまで選択した。

桑理:ふむふむ。

吉原:高校3年生の時に、独学で簿記2級まで取って「いけるやん!向いてる!」と思ったな。中学・高校では首席やったし、難しい試験やからこそ燃えた。大学受験をしないっていうコンプレックスもあったし。大学に入ってすぐ、専門学校に通い始めた。

桑理:小さい頃、会計士以外になりたいモノあった?

吉原:幼稚園の時は、お医者さん。好きな耳鼻科の先生がいたから(笑)。小学校の卒業文集では建築士。なんでか知らんけど(笑)。

桑理:どれも「カッコいい⇒なりたい」って感じ?

吉原:それが捨てた理由にも繋がるねんけど、「カッコいい」と「なりたい」の違いが解らなかった

 

 

公認会計士を捨てた理由

 

吉原:捨てたポイントとなる時期が3つあるねん。

  1. 勉強したくない
  2. 働きたくない
  3. 今の会社に就職した時

就職した時に、会計士の可能性は完全に捨てた。

 

勉強したくない

 

吉原: 大学2年の12月、1次試験に合格した後。ガムシャラに勉強して「会計、超おもろい!」ってノリノリやったけど、そこでふと「合格した後どうしよう?」と思った。

桑理:そうやったなぁ。。。

吉原:ちょっと待てよ。会計士になりたかったか?って。

桑理:ふむ。。。

吉原:そこから、「勉強したくない⇒勉強しない⇒勉強せなアカン⇒でも勉強したくない」ってスパイラルで、抜け出せないまま、2次試験まで。

桑理:うんうん。

吉原:「なんでこんな勉強したくないねん?」って考えたら、そもそも会計士になろうと思った時は「くま先生カッコいい」「簿記おもしろい」と思っただけ。多くの受験生がそうやと思うけど、会計監査のコトなんて、勉強して初めて知った。クマ先生は会計士やけど独立して、税理士事務所やってたし。

桑理:ふむ。。。

吉原:「何したい、どうなりたい」が無いまま会計士を目指していた。それをずーっと考えてたら、そもそも、僕は生まれたくて生まれたワケじゃないまでいった。親に育ててもらったコトは感謝してるけど、生まれてきたのは自分の選択じゃないし。そこからドロ沼。生きていたくないけど、死ぬのも嫌

 

働きたくない

 

吉原:そんなこんなで3年生の8月になって2次試験を受けたけど、運が良いのか悪いのか、試験には合格してしまう。点が取れないのは悔しくて、400時間ぐらいは勉強したけど。

※よっしーは勉強時間を記録していた。8カ月で400時間って、実家暮らし大学生のアルバイトやないか(笑)。

吉原:合格して、ちょっと元気になった。でも、どこまでいっても働きたくない「会計士に受かってる」っていう免罪符だけを頼りに、楽しく生きてた。何もせんでも、許される(笑)。

桑理:(笑)。

吉原:3回生で監査法人の就活をしたけど、就職難の時に、働きたくないヤツなんか受からん。その後、何の目標も無く生きる日々。プラプラ遊んでて、普通の大学生の就活もしなかった。

桑理:4回生で、もう1回監査法人の就活をすることもなく。。。

吉原:このまま卒業して、ノタレ死ぬのかなと思ってた。でも、親が許してくれなかった。今まで、何をやっても許してくれた親が「なんかやれ」って。それで、時間稼ぎで会計大学院に行った。

桑理:うんうん。

吉原:運が良いコトに大学の成績は良かったし、教授にも気に入られてたから、推薦状だけで行けた(笑)。

 

監査はしたくない

 

吉原:いろいろ前向きになるきっかけはあったけど、1番は大学院1年の秋。新島さん(※)と行った京都のお茶屋さん。

※新島さんは、専門学校で出会った僕らの人生の先輩。新島さん・金道・吉原・桑理の4人で、京都先斗町のお茶屋さんに行った。
金道はコミュニティを創る人①金道翔平さん「福岡読書会」をご覧ください。

吉原:「皆で何かやってみたら?」と3人に言うてくれはったんやけど、あれは暗に僕のお尻を叩いてくれてた。真意は分からんけど、少なくとも僕はそう受け取った。それだけじゃなく、新島さんは僕のコトを褒めてくれる。「よっしーは考えられる人」って。

桑理:うんうん。

吉原:いろいろ考えて、やってみて、エネルギーを使うのって楽しいと思った。

桑理:ほぉ。

吉原:それから、金道に相談してる中で、生きている意味は無いけど、生きる意味が無いと生きていけないって気付いた。簡単な話で、生きる意味を創ったらイイやんと。

桑理:なるほどねー。

吉原:僕の生きる意味、まだハッキリしてないけど、幸せになりたいはハッキリしてる。「幸せになるには、どうしたらイイか?」とか、普通の人が考えるようなコトを、そこでやっと考えられるようになった。生きる意味を創るしか無いと思えたから、自分の中で考えることが許された

桑理:ふむふむ。

吉原:自分が会計士になるかどうか、その時やっと考えられるようになった。

桑理:会計士どころじゃなかったもんな。

吉原:「どこに就職しようかな?」と考えて、監査法人に行かなかったのは、独立性を保たなアカンのが嫌やったから。会計のプロ・専門家やけど、自分の専門性を活かす先が、仲間じゃない。僕は、自分の能力を仲間に活かしたかった

桑理:仲間に活かす、か。

吉原:あと、監査の売上は制度で守られてる。普通の企業は「売れてる=役立ってる」やけど、監査は売れてるからと言って、役立ってるか解らん。社会に価値を生み出してるって感じられない

桑理:ふむ。。。

吉原:昔から、「勉強すごいね」って褒められても、それで何かが変わるワケじゃないと思ってた。働くんやったら、何か価値を生み出してるって思いたかった。

桑理:ほぉ。。。

吉原:だから、監査法人は真っ先に選択肢から切れた。公認会計士の資格は、監査をする以外には必須ではないし、資格も取らなくてイイ

桑理:そうやねー。

吉原:会計は好きやけど、会計を活かせる仕事は他にもあるし。勉強してきた会計の知識は強みやと思うけど、会計オタクにはなりたくない。専門性のあるジェネラリストとして、今の会社に骨を埋めるつもり。そう思える会社を選んだ。

 

 

吉原隆之介のこれから

 

吉原:会社を動かす意思決定ができる人になりたい。その上で、会計が解るのは強みになると思う。

桑理:うんうん。

吉原:組織を動かしたいだけなら、もっと早く出世できる会社があるんやろうけど、今の会社を気に入ってるから、それでイイ。気に入らん会社に入ってまで、やろうとは思わんし。

桑理:ふむ。

吉原:幸せになるには、普通に生きれたら十分。フルパワーでやったら120点取れる能力はあるかもしれんけど、それなら100点狙って8割のパワーでいい。それで幸せやと思う。

桑理:大きい組織を動かしてる人は、フルパワーでやってるイメージあるけど。。。

吉原:8割でも、100点をちゃんと取ればイケると思ってる。まぁ、そのうち壁にぶつかるとは思ってるよ(笑)。

桑理:(笑)。

吉原:手を抜いているワケじゃないけど、仕事が全てでは無いし。気楽にやってるな。

 

 

外から見た会計士

 

吉原:会計士の人は、会計士の資格が必要なのは監査だけって、解ってるんかな?もっくん(高谷元悠さん)みたいに、専門能力を得たくて監査をやってるなら別やけど。

桑理:ほぉ。

吉原:監査が会計士の醍醐味って思ってるんやったら、「制度によって守られてる仕事やと解ってますか?」と言いたい。監査そのものは証券市場っていうシステムの一部にすぎないし、さらには斜陽産業とさえ言われているし。「ホンマにそれって魅力的ですか?」って思うわ。

※上場企業や一定規模以上の会社は、監査を受けなければならないと法律で決められている車検みたいなモノ。

吉原:監査以外で、監査法人にしか出来ないことをやろうとするのは良いと思う。でも1番問題なのは、会計士自身が監査の価値を感じてないことかな。

桑理:確かに。。。

吉原:僕は監査の価値を感じられなかったけど、監査をやってる会計士でも、価値を感じてない人が多い気がする。投資家のための制度やけど、クライアントからお金をもらってるし。「クライアントに付加価値を」って言っても、独立性があるしな。。。

桑理:難しいなー。

吉原:中途半端やわ(笑)。

桑理:中途半端。後藤さんも言ってたな(笑)。

 

 

編集後記

 

すごく頭のイイ人です。
物事の本質を見抜く力があり、周りに合わせる力が高い。
※よっしーは桑理に対して、「自分のペースでコツコツやるのがすごい」と思い、仲良くなりました。

「会計士には、監査法人以外にいろんな選択肢がある」と言いますが、

会計士の資格が必要なのは監査だけって、解ってるんかな?

との彼の指摘には、僕らはどう答えるのでしょうか。。。

 

難しい問題ですが、個人的にはこのブログで

  • 会計士を知らない人に、会計士を知ってもらう。
  • 会計士の今後を、様々な角度から考える。

という目標が達成されているので、良しとしましょう。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(__)m

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